2013.11.14
Al-Cu系アルミ合金の熱処理
今回は、書籍より引用いたします。
「よくわかる最新熱処理技術の基本と仕組み」 第2版 山方三郎著 秀和システム
この本は、鉄を中心にして他の材質などを含めた熱処理の理解を深めるために良い本です。図解も豊富です。アルミニウムについてはあまり記述はありませんが、他の参考書に無い記述がありますので、部分的に引用させていただき、紹介いたします。
——————引用ここから
Al-Cu系合金(4.0%Cu合金)を例にとると、約520℃でCuはAlと均一な固溶体(母金属に合金元素が完全に溶け込んだ固体)となっていますが、徐冷した場合は、この固溶体からCuAl2が析出します。しかし急冷されるとCuAl2の析出は阻止され、常温で過飽和固溶体となります。
このように高温から急冷(焼入れ)して過飽和固溶体を存在させる熱処理を溶体化熱処理といいます。この過飽和固溶体を常温に放置するか、または常温より高い温度の焼戻しをすると固溶体中の過剰なCuはCuAl2となって析出し、著しく硬化します。
この熱処理を時効硬化熱処理といいます。
——————引用ここまで
上記の説明の通り、約520℃から急冷するということが1番目のポイントで、その次に焼戻しにより硬化するというポイントがあります。
急冷することはとても重要で、その後の焼戻しは温度と保持時間が硬さに大きな影響を及ぼします。
硬さは、引張強さなどの機械的性質との関連によって製品の「できばえ」を簡易的に調べることができる数値です。
アルミニウムの材質により、熱処理の温度と保持時間は異なります。また、加熱炉の中に入れる方法は製品の形状によっても変わりますので、もし何か御質問等がございましたら、いつでもお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。