2014.09.04
雰囲気温度と実体(実態)温度について
アルミニウムの熱処理は、弊社では熱源は電気を使用しています。電気を使って加熱をすると温度をコントロールしやすいという利点があります。
そして、炉内に温度を測定するためのセンサーを取り付けています。これは熱電対(ねつでんつい)と呼ばれていて、ステンレスの細い管の中に熱電対の素線が入っています。
通常は、このセンサーで測定された温度を元に炉内をコントロールしています。
ここで問題となるのが、炉の中に入れた製品の温度と炉内の温度との差です。
炉内の温度は雰囲気温度と呼んでいます。雰囲気は、炉内の気体を指すこともあり、窒素雰囲気や水素雰囲気と言った場合には、それらの気体で炉の中が満たされている状態です。
さて、例えば炉の中の雰囲気温度が500℃の状態でも、製品の温度は500℃に達していないことがあります。
お湯の中に何か缶コーヒーなどを入れても、すぐにお湯と同じ温度にならないように、周囲の温度と同じになるには時間がかかります。
電気炉の温度管理(制御)は雰囲気の温度で行っていますので、実際の製品の温度とは異なっています。
そのため、実際に製品の温度を測定するためにセンサー(熱電対)を直接製品に取り付けて測定することを実体(実態)測定と呼んでいます。
たとえば、合計で1トンぐらいの製品を電気炉の中に入れた場合に、炉の温度が500℃に達しても製品の温度は400℃に到達していなかったりします。
また、炉内の上下でも温度に差が出ます。
この温度差は時間と共に解消され、だいたい1~3時間後には雰囲気温度や炉内の製品の上下も同じ温度に到達します。
熱処理の工程を決めるときに、保持時間については実体(実態)測定の結果を考慮しながら雰囲気温度で管理できるようにしていきます。
炉の中に入れる量や並べ方でも色々と変化しますので、それらのノウハウを元に最適な熱処理を行っております。