2015.08.26
昇温時間について
アルミ熱処理で溶体化処理を行うときは、だいたい450~530℃ですが、その温度に達するまでの時間は、早すぎず遅すぎずという加減があります。
ちなみに、目的の温度に達するまで加熱を続ける時間を昇温時間と呼んでいます。
熱処理を行う対象の製品は、通常はバスケットと言われるステンレス、または鉄のカゴにセットして炉内に入れます。
そして、それを炉内に入れて加熱すると、炉内の空気が先に温まるため、バスケットに入れた製品の外側が先に温度が上がります。
急激に外側だけが温まっても、バスケットの内部の製品はその温度に達していないため、外部と内部で温度差が生じます。
そのため、目的の温度に達してからの保持時間が変わるため、品質にバラツキがでる可能性があります。
つまり、例えば外側の製品が500℃に達した後、内側が500℃に達することが1~2時間遅れた場合、最終的に炉から出したときの保持時間に1~2時間の差が生じるということです。
また、加熱を抑えてゆっくりと製品の温度を上げていった場合には、外部と内部の差はあまりみられずにバラツキも少なくなるのですが、炉に入っている時間が長くなるために効率が良くありません。(熱処理としては問題はありません。)
そこで、だいたいベストの時間を考えて加熱をします。
通常は、1時間半~2時間半ぐらいが良好な値となります。
ただ、製品の量が少ない時にはバラツキも少ないため、昇温時間は短くても問題はありません。
これらは、バスケットの製品に温度センサー(熱電対:ねつでんつい)を取り付けて実際の温度を測定しながら調節するとよくなります。
バスケットへの詰め方でも製品の温度のバラツキが変わりますので、実際の熱処理のときにはバスケットへの入れ方が大切なポイントとなります。
それにより、製品の「出来栄え」が変わってきます。
その辺りのノウハウを含め、ご質問等がございましたら、いつでもご連絡をいただければと思います。
よろしくお願いいたします。