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量産前の試作について

2013.02.28
量産前の試作について

アルミニウム製品で、新しい製品を作るときの試作をお願いされるときがあります。

例えば、アルミニウム製品の熱処理の結果だけを知りたいときには5個とか10個で、熱処理後の切削加工を含む試作のときには30~50個だったりします。

その場合は、「製品自体の熱処理の試作」ということになります。そのときに、最適な温度と保持時間を調べるために数回違う条件で行うこともあります。

そして、「量産に向けての試作」があります。

それは、例えばアルミニウム製品の熱処理の温度と時間が決定している場合です。

1つの電気炉に製品を入れる場合、1トンを超える量を1度に熱処理するときもありますので、炉の中にどのようにセットするか、また、そのときの温度と保持時間を決定する必要があります。

弊社の電気炉はアルミ熱処理専用で、500℃の時にだいたい±5℃ぐらいです。

それでも、例えば製品の温度を500℃にするときに、電気炉の設定温度は501℃にするとちょうど良いという場合もありますので、その設定値を最初に決めておく必要があります。

そのような熱処理の試作は、製品に温度測定用のセンサー(熱電対)を取り付け、炉の中の12ヶ所ぐらいを測定して最適な条件を探します。(実体試験)

温度の分布が思わしくない時には、炉内への製品のセットのやり方を変更します。そして、実体試験の結果を見て量産のときの温度条件を決定します。

したがって、量産のときには「セットの仕方、温度と保持時間」を決定し、以後はそれに基づいて作られた作業標準にしたがって作業をすることになります。

このように、試作には2つのやり方がありますが、同時に行う場合もあります。

また、コストダウンのために「どこまで温度を低く短くすることができるか。」というご相談も受けております。

アルミ熱処理の最適化など、色々なご相談もお受けしておりますので、よろしくお願いいたします。

2013.02.21
時効硬化曲線について

アルミニウム合金を溶体化処理した後、室温以上固溶度曲線以下の温度で時効処理をすると、時効硬化します。

言葉が少し難しいかもしれませんが、溶体化処理は高温から急冷する処理で、固溶度曲線は固溶体となる温度範囲を示します。

つまり、アルミニウム製品を高温で保持し、そこから水槽などに入れて急冷した後で、常温や200℃前後に加熱して保持することで硬さが増加することです。

そのときに、温度と時間によって時効硬化の硬さの変化がどのようになるかをグラフにしたものが時効硬化曲線です。時間が経つと硬さが増していきますが、ある程度の時間を過ぎると硬さは低下します。

グラフ自体は、ピークがあって下がるという単純なものではなく、2段の凹凸のある曲線になります。

時効の温度が高いほど、硬さの低下は短時間で始まると言われていますが、過時効を目的とした熱処理もあります。

熱処理で目的の硬さにするためには、過時効曲線を参考にすると良いのですが、もし入手ができないときには実際にテストを行う必要があります。それは例えば、時効硬化処理用にサンプルを5個用意して、保持時間が4・5・6・7・8時間のときに炉の扉をあけて1個ずつ取り出して、それぞれが常温になってから硬さを測定するという方法で行います。

弊社では、そのような試験も行なっておりますので、ご希望があればご連絡をいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

2013.02.14
アルミ熱処理の調質記号について

アルミニウムの熱処理については、JIS規格で用いられる「調質記号」によって表記されます。(JISH0001)

F:製造のままのもの

O:焼なまししたもの

H:加工硬化したもの

W:溶体化処理したもの

T:熱処理によってF・O・H以外の安定な質別にしたもの

製品について、その質別を指す言葉で「F材」{O材」などという場合があります。

また、H3やT6など、細分記号というもので更に細かく分類されています。

今回は詳細な説明は省略いたしますが、T4とWの違いについて少し説明いたします。

Wについては、「溶体化処理後常温で自然時効する合金だけに適用する不安定な質別」となります。

T4は、「溶体化処理後自然時効させたもの:溶体化処理後冷間加工を行わず、十分に安定な状態まで自然時効させたもの。」です。

溶体化処理後に常温で置いておくという点では同じなのですが、Wは溶体化処理を行っただけで目的は無く、T4は自然時効により目的を達成するという積極的な意味合いがあります。例えば、A6061の板のT4は溶体化処理後に「室温96時間以上」という規格になります。

つまり、Wは不安定な状態、T4は安定した状態、と見なすことができます。

ちなみに、T4もT41やT4510などに細分されています。

アルミニウムの調質について、何か疑問等がございましたら、お気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。

2013.02.07
ISO9001への取り組みについて

弊社は2006年3月にISO9001の認証を取得いたしました。今年で7年になります。

その間、細かなことで変わったこともありますが、大きな変更は特にありません。

弊社は、マネジメントレビューは毎月1回行い、その内容を全員が集まる朝礼で伝えて情報の共有化を行なっています。

情報の共有化については、新規取引や熱処理の条件変更、注意事項などの情報を各自が持っているPHSへメールで送っています。それにより、リアルタイムに情報を得られるようにしております。各自が持っているPHSはスタッフへの会社支給品です。

各自の力量については、毎月新たなスキルを覚える計画を立てて各自で発表を行い、常に技術の向上に努めております。また、熱処理技術の勉強会、コストダウンの打ち合わせ、ISO9001の勉強会も定期的に行なっています。

品質目標やプロセスの監視など、ISO9001の規格に添った業務内容を行うことで、より高度な品質の維持や新しい熱処理への取り組みなどもスタッフにわかりやすくなっているため、スムーズです。

毎年、色々なお客様が監査にいらっしゃいますが、問題なく監査を終えられています。

今後も、アルミニウムの熱処理を安心してご依頼されるようにスタッフ一同、切磋琢磨していきますので、よろしくお願いいたします。