2013.11.28
アルミ熱処理の温度条件設定について
アルミニウムの熱処理は、材質によって加熱温度と保持時間が決まっています。
例えば、AC4C材のT6であれば525℃で8時間過熱を続けた後に急冷し、その後160℃で7時間加熱をします。
通常はピッタリの温度や時間にはなりませんので、上記の温度と時間は「約」ということになります。
一般的な見解で言えば、温度は±5℃、加熱時間(保持時間)は+10分-0分という公差で管理します。
また、上記の温度はあくまでも製品そのものの温度(実体温度、実態温度)ですので、炉の中の空気の温度とは異なります。
実際の熱処理は炉の中の空気の温度を測定してヒーターの温度をコントロールしますので、設定温度とは若干異なります。
また、加熱時間に関しても炉の中の空気の温度と実際の製品の温度と異なるために、通常管理している空気の温度との違いを把握する必要があります。
熱処理炉の中にどのように製品を入れるか、熱風循環ファンの回転数をどうするかなど、熱処理を実際に行うときには色々な要素を考慮して行う必要があります。
また、製品によっては硬さが多少柔らかくなっても変形しないようにしたいという場合もありますので、そのときには温度条件を変更いたします。
アルミ熱処理は、様々な条件によってやり方も変わる場合がありますので、その都度やり方を検討する必要があります。
詳細についてのご質問等は、いつでもお気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2013.11.21
11月は品質月間
2013.11.14
Al-Cu系アルミ合金の熱処理
今回は、書籍より引用いたします。
「よくわかる最新熱処理技術の基本と仕組み」 第2版 山方三郎著 秀和システム
この本は、鉄を中心にして他の材質などを含めた熱処理の理解を深めるために良い本です。図解も豊富です。アルミニウムについてはあまり記述はありませんが、他の参考書に無い記述がありますので、部分的に引用させていただき、紹介いたします。
——————引用ここから
Al-Cu系合金(4.0%Cu合金)を例にとると、約520℃でCuはAlと均一な固溶体(母金属に合金元素が完全に溶け込んだ固体)となっていますが、徐冷した場合は、この固溶体からCuAl2が析出します。しかし急冷されるとCuAl2の析出は阻止され、常温で過飽和固溶体となります。
このように高温から急冷(焼入れ)して過飽和固溶体を存在させる熱処理を溶体化熱処理といいます。この過飽和固溶体を常温に放置するか、または常温より高い温度の焼戻しをすると固溶体中の過剰なCuはCuAl2となって析出し、著しく硬化します。
この熱処理を時効硬化熱処理といいます。
——————引用ここまで
上記の説明の通り、約520℃から急冷するということが1番目のポイントで、その次に焼戻しにより硬化するというポイントがあります。
急冷することはとても重要で、その後の焼戻しは温度と保持時間が硬さに大きな影響を及ぼします。
硬さは、引張強さなどの機械的性質との関連によって製品の「できばえ」を簡易的に調べることができる数値です。
アルミニウムの材質により、熱処理の温度と保持時間は異なります。また、加熱炉の中に入れる方法は製品の形状によっても変わりますので、もし何か御質問等がございましたら、いつでもお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2013.11.07
アルミニウムの熱処理における外観上の変化について
アルミニウムの熱処理を行った時に発生する外観上の変化は、表面の色具合の違いや変形などがあります。
表面的には、ツヤの具合に変化があったり、焼けたようになることがあります。また、くすんだようになったり、黒っぽくなることがあります。
T5処理の場合には、特に色具合の変化はありません。焼鈍の場合には、焼けたような感じになることがあります。
溶体化処理の場合には、製品によっては変形することがあります。事前にそれを考慮して炉の中への入れ方を考えたり、大きな鋳物の場合にはハンマーで叩いて寸法を整える矯正作業を行います。
基本的に、熱処理を行ったかどうかは外見上では判断できません。また、熱処理を行ったようだと判断しても、いつどのような熱処理を行ったかの記録や硬さ測定などのデータが無いと合否の判断は不可となります。その製品の硬さを測定しても、正しい熱処理を行ったかどうかが不明であれば要注意で、お客様によっては不合格品となります。
熱処理後に切削を行う工程がある場合には、変色や変形に関して許容される場合もありますので、それらについても必要に応じてご相談させていただいております。
アルミ熱処理に関する御質問等がございましたら、お気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。