2014.02.27
時効軟化について
アルミニウム合金を積極的に軟化させるには、「焼鈍(しょうどん)」や「焼きなまし」と言われる熱処理を行いますが、例えばAl-Mg合金はMgの含有量が多いほど、また加工硬化量が大きいほど、室温での経時変化が起こりやすくなり、時間の経過とともに強度が低下していきます。
これは時効軟化と呼ばれています。
この時効軟化は加工ひずみ上にAl-Mgの化合物(β相)が析出し、ひずみが開放されることによって起こると考えられています。
工業的には時効軟化を防止することは重要で、加工硬化後に120~175℃で熱処理を行うことにより、あらかじめ人為的に時効軟化を起こさせ、その後の室温での時効軟化を抑制します。
時効軟化はMg元素が関与した現象であるため、質別記号のH3nはMg元素を含有した合金にのみ適用されます。
(参考文献:「アルミニウム合金の強度」 小林俊郎 編著)
アルミニウムの熱処理に関しての御質問等は、いつでもお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2014.02.20
大雪でした。
2014.02.13
溶体化処理における強制空冷
アルミニウムの熱処理で溶体化処理というと水での冷却が一般的です。
しかし、水冷の場合に変形したり割れたりする場合に、空冷を選択する場合があります。
弊社の場合は、熱処理用のバスケットの中にアルミ製品を入れるバッチ式の炉ですので、製品はすべてバスケットの中にあります。
そして、そのバスケットごと回転式の台に載せて、横から風を当てて冷却します。
冷却する方法は、扇風機を下から当てたり上から当てたりと色々な方法を試しましたが、現在は扇風機は使用しておりません。やはり風は弱いためにうまく冷却できません。
現在の冷却方法は弊社のノウハウのためにあえてここでは記載しませんが、水冷却よりも変形は少なくなります。
ただ、硬さは水冷却に比べると柔らかめになりますので、製品の目的に合わせて冷却方法を選ぶ必要があります。
風を当てての冷却については、数社からのご依頼で試験を行ってきた実績もありますので、もし興味がある場合にはご相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2014.02.06
アルミ熱処理製品の硬さの測定が困難な場合について
アルミニウムの熱処理を行った後、決められた方法で作業が行われたかを確認し、詰め方や温度・時間が正しければ通常は製品も合格品となります。
そして、硬さを測定して最終的な合否判断を行うのですが、形状によっては硬さの測定が困難な場合があります。
例えば、板状で1~5ミリ程度の厚さのものや、硬さ試験機にうまくセットできない形状のものです。小さな部品やネジの形状のものも測定が困難です。
その場合は、同じ材質の1立法センチ以上の形状のアルミニウムを一緒に熱処理して、それを測定用のサンプルとする方法と、大きくて複雑な形状のものは切断して測定する方法があります。
どちらの場合も、だいたい製品を測定するのと同じような結果になるようです。
硬さの測定については、いつでもお気軽にご相談をいただければ幸いです。