2014.03.13
焼入れ遅れについて
「焼入れ遅れ」という言葉は、炉の中で加熱された製品を冷却するときに、どのぐらいのスピードで急冷したかを知るときに使います。
例えば、炉から出た製品が水槽の中に完全に入るまでの時間が30秒だとすると、「焼き入れ遅れは30秒」という表現になります。
高温から急冷するときに問題となるのは、急冷の時間が遅いと冷却の効果が無くなり、目的の品質に至らない点です。熱処理製品の場合には、硬さが問題になります。
アルミニウムの熱処理の場合、高温から急冷するのは「溶体化処理」と呼ぶため、「焼入れ」という表現を使わないことが多いのですが、作業工程としては鉄の焼入れと同じように見えますので、焼入れと呼ぶ場合も多くあります。
焼入れ遅れの時間の測定のやり方についてはメーカーによって違います。
炉の蓋を開けた瞬間から計る場合や、製品を炉から取り出し始めたタイミングから計る場合があります。
水槽に入れて冷却する場合には、製品が完全に水の中に入ったところまでの時間を測定するのが一般的です。
いずれにせよ、常に一定の作業を行うための目安になるためなので、測定をやりやすい方法を使うということで問題はありません。
弊社の場合には、炉の蓋を開けるスイッチを押すと工場の壁にある大きな表示のストップウォッチのスイッチが入りますので、それを見て確認をしています。
焼き入れ遅れについては、作業標準書に記載する場合としない場合がありますが、書いていない場合でも60秒以内には水没しています。
実際には、水没までに何秒かかったかというよりも、水没したときに製品がどのくらいの温度になっているかということです。
もし、500℃で加熱保持された製品を水没するときに490℃以上という規格があった場合に、例えば水冷までに2分間かかったとしても規格を満たしていれば問題ありません。
焼入れ遅れの時間の規定は、冷却時の製品の温度との相関関係で決定されます。
通常、アルミニウム製品の場合には鋳物よりも鍛造品の方が早く冷却をする必要があります。
焼き入れ遅れなど、アルミニウムの熱処理に関するご質問がございましたら、いつでもご連絡をいただければと思います。
よろしくお願いいたします。