2020.02.26
熱処理時の製品の置き方について
アルミニウムの熱処理を行う際、変形についてのよく聞かれる事があります。
鋳物はT6処理(溶体化処理)をおこなうと変形がでやすくなります。
特に厚みが薄い箱状や、板状の製品などは変形が大きくなることが多いです。
また、T5処理の場合も鋳物では変形することがあります。熱処理を行うときの製品の置き方ですが、板状やパイプ状の製品は縦置きで処理することで変形を少なくすることが可能です。
実際、全く変形しないということはないので、置き方を工夫して変形を最小限になるようにしています。
複雑な形状の製品では、実際に熱処理を行ってみないとわからないことが多くあります。
熱処理後の加工で多少変形していても大丈夫な製品の場合は良いのですが、加工してみないとわからない場合などは事前に少量での熱処理テストをおすすめしております。
アルミニウムの熱処理についてご不明な点などがございましたら、いつでもご連絡いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2020.02.19
アルミ熱処理についてのご相談やお問合せについて
おかげさまでお問合せや御見積依頼を多くいただいております。アルミニウム熱処理についてのご相談やご質問も多くいただいております。
先日、お取引しているT社様から「お客様が製品の事で困っているから相談にのってあげてほしい。」とご連絡をいただいたので紹介をしていただきました。「他社様で熱処理を行って加工をしたが硬度不足の疑いがあって困っている。加工まで終わっているが何とかできますか」とご相談をいただきました。弊社で処理前に硬度測定を行ったところ、規格には入っていましたが低めでした。そこで再熱処理(再T6処理)を行い、硬度を上げる事が出来ました。
再熱処理とは、再T6処理を行う事です。今までの経験上、2回目は製品の表面が少し黒っぽくなります。3回目以降は更に黒くなり硬さが低下していきます。硬さが低下するのは、「マグネシウムなどの成分がぬける為」などと言われております。
また先日、お客様の実験(テスト)をお客様と一緒に行いました。詳しい事は、お話できませんが後日、「欲しかったデータがとれました。また、お願いします。ご協力ありがとうございました。」とご連絡をいただき、お客様のお役に立てた事が嬉しかったです。
アルミニウム熱処理について何かございましたらいつでもご連絡いただければ幸いです。宜しくお願いします。
2020.02.12
アルミ熱処理の質別の細分記号について
前回の続きです。
アルミニウムの熱処理に関する質別記号ですが、焼きなましをしたものを「O材」というように質別記号を材料の識別に使う場合もあります。
何も熱処理されていないものは「F」ですので、「F材、エフ材」とも呼ばれます。
そして、よく使われるT5やT6という質別ですが、それは更に細分化された分類があります。
例えば、
T6511 溶体化処理後残留応力を除去し、さらに人工時効硬化したもの:溶体化処理後TX511の永久ひずみを与える引張加工によって残留応力を除去し、さらに人工時効硬化処理したもの。ただし、この引張加工後わずかな加工は許容される。
とあります。TX511のxの部分は数字が入ります。たとえばT4511はT4処理についての規定です。
「永久ひずみを与える引張加工」は熱処理ではなく、他の手段による加工になりますが、そのような加工を行ったことを表す識別記号を用いることで、それらの説明を省力して質別記号だけで材料の状態がわかるようになります。
もし、加工図面にこのような質別記号があってよくわからない場合には、お問い合わせをいただければと思います。
それ以外にも、アルミニウムの熱処理に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。
2020.02.05
アルミ熱処理の質別記号について
アルミニウムの熱処理では、「質別記号」というものを使います。
「アルミニウム合金の調質の種類」ということで、「調質」というのは冷間加工や熱処理などによって強度や成形性などを調整することです。これは、JISの規格で定められていて、JIS H0001になります。
いくつもの調整方法があるため、質別記号を使ってわかりやすくしています。
例えば、設計図面に「T6」と書かれていた場合には、その品物はT6という調質を行うという指示だとわかります。
また、出来上がった製品に「T6」と書かれていた場合には、T6の調質がされたものだということがわかります。
質別記号には「基本記号」というものがあって、だいたいの状態がわかります。
具体的には、「F」が製造したままの状態、特に何もしていないことです。
「O」は焼きなましされた状態、「H」は加工硬化したもの、「W」は溶体化処理をしたもの、「T」は熱処理によって他の質別記号のものとは違う安定なものにしたものという定義になっています。
その次に、「細分記号」というものがあって、さらにそれらを細かく分類しています。
それについては、次回もう少し詳しく説明をさせていただきます。