2022.10.26
治具の点検について
アルミニウムの熱処理を行うときには、各種の治具(じぐ)を使用します。
1番よく使うのは、お客様からお預かりした製品を熱処理炉に入れるときに使うバスケットです。
バスケットは、鉄やステンレスのパンチング板とアングルなどの鉄材で作られています。
大型丸炉の場合には直径が約1,200ミリで高さが約500ミリのバスケットを3段にして炉の中に入れます。
バスケットの大きさは他にも高さが400ミリや775ミリのものもあります。
500℃ぐらいに加熱して使用しているので、曲がったり溶接が取れたりします。
製品を入れてから溶接が取れている事に気づいても修正出来ないため、何も入っていない状態で定期的に点検をしています。
点検したときに補修が必要な場合には修正をします。また、壊れそうなところも先に手を入れておきます。
時間があるときに補修をすることで作業に余裕が出来ますし、慌てて修正する事態も回避することが出来ます。
治具は他にも製品別の熱処理用治具もありますが、修正が必要なのは主に熱処理用バスケットになります。
また、点検や修理については記録して保管しています。
アルミニウムの熱処理についてのご質問はいつでもお受けしておりますので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
2022.10.19
量産前の試作について
アルミニウム製品で、新しい試作品の熱処理をお願いされることがあります。
例えば、製品の熱処理後の結果を知りたいときには1個から10個程度、熱処理後に切削加工などを確認する試作の場合は10個から50個程度で処理をおこなうことが多いです。
また、処理温度・保持時間などの熱処理条件出しの場合には、複数回に分けて違う条件、詰め方を変えて熱処理をおこないます。
アルミニウムの熱処理の試作は、製品に穴を開けて温度測定用のセンサー(熱電対)を取り付けて3ヶ所から12ヶ所程度測定し、温度分布を確認して最適な熱処理条件を探していく作業をおこないます。
温度分布にバラツキがある時は、製品の詰め方を変更することで最適な熱処理条件に近づけていきます。
量産の時は、試作での結果をもとに製品の詰め方・温度と保持時間を決定し、それに基づいて作成した作業標準書に従って作業を行います。
試作で熱処理をおこなってみたい、少量での熱処理などお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2022.10.12
工場見学や立合い作業などについて
先日、今までに何度か試作品を熱処理させていただいたお客様が工場見学と今後の熱処理についての打合せに来社されました。会社名は言えませんが、遠方から来てくださいました。
今までアルミニウム製品の試作品を熱処理する際、熱処理に使用する炉や治具などの写真や設備の説明は、電話やメールでやり取りをさせていただきましたが、実際に使用する熱処理炉や治具、他社様の製品ですが熱処理の流れを見ていただきました。来社される前にとても詳しくわかりやすい資料をいただいていたので、今後の熱処理についての打合せもとてもスムーズに進める事が出来ました。今後、お客様立合いで実体測定を行う事になりました。
コロナ過でお客様が来社し、打合せや工場見学・立合いでの実体や矯正作業など減ってしまいましたが、「アルミニウム熱処理を見てみたい。矯正作業を一緒にやって欲しい。」など、弊社はいつでも大歓迎です。
今月末にISO9001・14001の更新審査があります。これからも品質の向上はもちろんですが、お客様の役に立てるよう、喜んでいただけるよう、スタッフ全員で努めてまいります。工場見学や立合いでの作業、アルミニウム熱処理についてのご相談などございました、いつでもご連絡をいただければ幸いです。宜しくお願い致します。
2022.10.05
T5処理について
T5の熱処理とは、高温加工から冷却後人工時効硬化処理したもので、鋳物または押出材のように高温の製造工程から冷却後積極的に冷間加工をおこなわず、人工時効硬化処理したもの。
おもにT5は歪み取り、寸法の安定化、被切削性の向上目的のための熱処理になります。
余談ではありますが、以前にお問い合わせで「T5処理された製品をT6処理できるか?」と質問がありました。
実際に事例としては、お客様の要望で、薄い板状の製品を実験的にやって欲しいとのことでしたのでT6処理をしてみました。
結果は炙ったスルメイカのように反りがでて歪みました。
予想はしていましたが、やはり製品の形状などによって大きな影響の差がでることがわかりました。
また話は戻りますが、T5処理をしますと若干硬さが増す場合もありますが、通常はほぼ硬さに変化はありません。
お客様によっては、T5処理に関しては硬さの測定は必要無いとおっしゃっる場合もあります。
そしてまれにですが、材質の不良が発生する場合があり、硬さ測定を行うことで材質不良を発見する可能性もあるため、その目的も含めて毎回データを提出する場合もあります。
その時にはJIS規格を基準にしますが、別に管理値を決める場合もあります。
弊社では提出が必要なデータの御相談など随時受付ておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。