2020.04.01
実態(実体)測定を行う理由について
アルミニウムの熱処理は、温められた空気の中にアルミ製品を入れて加熱を行います。
炉の中の温度は、熱電対(ねつでんつい)と呼ばれる温度計を差し込んで測定しています。
その測定された温度は、炉の中の空気の温度になります。
そこにアルミニウム製品を入れて加熱するわけですが、炉内の空気の温度と実際のアルミニウム製品とは温度の差があります。
これは、たとえば沸騰したお湯の中に豆腐を入れてしばらくして取り出しても豆腐の中は冷たい状態になっているのと同様です。
豆腐は熱いお湯の中で温まっていくのですが、内部まで温度が上がるには時間がかかります。
このときに、どのような温度の状況になっているのかを測るために実態(実体)測定というものを行います。
豆腐の場合には単純に豆腐の中心に温度計をさして測定します。
アルミニウムの熱処理の場合には、アルミニウム製品の中心までは測定する必要はないのですが、ある程度の深さの穴をあけて、そこに熱電対の素線を入れて測定します。
そして、数百個を同時に熱処理する場合には炉の中の10か所ぐらいに熱電対の素線をさした製品を入れて温度分布も測定します。
実際に実態(実体)測定を行うと、周囲の空気の温度が先に上昇し、製品の温度は後から上がっていくことが確認できます。
そうやって炉内の温度を測定し、最適な熱処理の温度と時間、そして炉内への製品の入れ方などを考えて熱処理を行うのが実態(実体)測定の目的です。
厳密な仕様で無い場合には、だいたいの経験で温度や時間の設定を行っています。また、その場合には多少の余裕も見ています。
アルミニウムの熱処理に関するご質問等はいつでも受けておりますので、お気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。